セレブリティミレニアムと土崎みなと歴史伝承館

 9月27日(日)、秋田港にセレブリティ・ミレニアムが寄港した。今回のクルーズは横浜~釜山~舞鶴~金沢~秋田~青森と秋の日本を巡る横浜発着11日の旅。1人198,000円~1,300,000円。130万円は私には無縁の世界ですな。
 セレブリティ・クルーズはフロリダ州のマイアミに本社を置くクルーズ客船運航会社。121,878トンのソルスティス級5隻、91,000トンのミレニアム級4隻などを所有している。なおミレニアム級はパナマックス(パナマ運河を航行できる最大級船舶)である。

総トン数90,940トン 全長294m 全幅32m 喫水7.9m 速度24.0ノット 旅客定員2,218人

比較のためQueen Elizabethのデータ 同じくパナマックスである。
総トン数90,400トン 全長294m 全幅32.3m 喫水8m 速力23.7ノット 旅客定員2,092人

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バスはにかほ市象潟からも来ていた。
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ポートタワー・セリオンIMG_5453.JPG

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 クルーズ客船寄港時にのみ運行される秋田港駅。正確に言えばJR貨物と秋田臨海鉄道が共用している貨物専用駅であったが、平成29(2017)年に秋田竿燈まつりの期間に寄港するクルーズ客船の乗客を秋田港駅から秋田駅に運ぶ旅客列車が試験運行され、翌30年にJR東日本が第二種鉄道事業許可を取得してプラットフォームを整備した。なお第二種鉄道事業とは、他者が所有する線路を使用して旅客または貨物を行う事業。

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土崎みなと歴史伝承館秋まつりが行われているのでそちらに寄ってみた。
土崎港曳山祭り(重要無形民俗文化財/無形文化遺産)の曳山が運行されていた。
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伝承館は昨年3月にオープンしたが、入館するのは今回が初めて。
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伝承館の中では踊が披露されていた。
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 秋田港の前身は土崎湊で、北前船の寄港地だった。北前船は北海道から日本海、瀬戸内海を航行して大阪を結んだ船で、船頭が自分の判断で寄港地で売買していたことを特徴とする。「買い積み廻船」とも呼ぶ。これに対して太平洋航路で大阪から江戸に物資輸送していた菱垣廻船や樽廻船などは「運賃積み廻船」と呼ばれ、輸送運賃が廻船問屋の収入であった。現代の運送会社と基本的に同じである。「運賃積み廻船」は安定した収入が得られたが、「買い積み廻船」の北前船は才覚があれば多額の収入が得られた。天保15(1844)年頃の1000石船は約1000両で、北前船は1年で1000両の収入が珍しくなく、つまり1年目で船代の元を取り、2年目から丸儲けとまで言われた。
 日本海航路は、北海道と東北、東北と北陸、北陸と山陰、山陰と瀬戸内を結ぶ航路などはそれぞれあったが、寛文12(1672)年に河村瑞賢が幕命を受けて山形県の酒田から関門海峡を経由して大阪までの航路(西回り航路)を開発整備した。この頃江戸の人口が増えて天領(幕府領)から城米を江戸に輸送する必要が高まったのである。最上氏改易後に最上川流域には天領が増え、従来は換金して江戸に送金していたが、コメのまま江戸に運ぶルートとして陸路、津軽海峡を経由して太平洋岸を南下する東回り航路も比較されたが安全に安価に輸送できるのが西回り航路だった。一見すると東回り航路の方が近いが、津軽海峡の流れは速くてそのまま太平洋に押し流されてしまうことも珍しくなかった。さらに房総半島を回り込むときも黒潮の流れに押し流されることは多々あった。東回り航路は帆船時代には極めて困難な航路だったのである。西回り航路は冬の荒れる日本海は別にして比較的平穏に航行できた。西回り航路が幕府によって整備されると、各藩もそれを利用して大阪に蔵米を輸送するようになった。当時は徐々に貨幣経済が発達し、各藩は蔵米を換金する必要が生じたのである。この航路の整備で割を食ったのは北陸の敦賀や小浜などで、それまではここで陸揚げして琵琶湖まで運び再び水運で大阪まで輸送していたが、その需要が激減したためである。さらに商品経済が発達し堆肥の需要が高まる江戸時代後半には北海道の鰊粕が注目された。現代ではニシンは高級魚の仲間入りだが、当時は最も安い魚の一種だった。松前藩に深く食い入った近江商人の支配が弱まって様々な商人が参入するようになると多くの船が北海道から大阪までの航路を往復するようになった。当時は帆船ゆえに風待ちで港に待機する「帆待ち」が行われ、その間に船頭ら乗組員による自由売買も行われるようなり、転じてその自由売買もホマチと呼ばれるようになった。これは船主にも統制困難でホマチは船頭らの当然の権利となり、自立した船頭らによる北前船全盛の時代と推移していく。

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北前船というとこのような一枚帆の和船を思い浮かべる人が少なくないが、上記の通り北前船は船舶の形状ではなく、船頭らが己の才覚で自由売買した「買い積み廻船」のことである。明治維新後には蒸気船やディーゼル船の北前船も行われた。北前船は商品の地域のおける価格差を利用して儲けたが、電信網の発達などで情報が共有されると地域の価格差は小さくなってしまった。さらに鉄道が敷かれて物流がそちらに移行して北前船の時代は終焉した。
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秋田街道絵巻
 寛政年間に久保田藩士の荻津勝孝が描いた全三巻の絵巻。うち土崎湊の周囲が展示されていた。
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伝承館には土崎空襲の資料も充実していた。
秋田市八橋には産油量日本最大の八橋油田があった。いや現在も稼働していて国際石油開発帝石国内事業本部秋田鉱業所が年間約16,000キロリットル(10万バレル)産出している。そして秋田港がある秋田市土崎には大規模な製油所が立地していた。現在もJXTGエネルギー秋田油槽所がある。終戦間際まで秋田への空襲は殆どなかったが、昭和20年8月14日22:30から翌15日3:30頃まで重点的に空爆が行われ、爆撃目標の日本石油秋田製油所は全壊し、周囲の市街地も大きな被害を受けた。この空襲は太平洋戦争最後の空襲であり、秋田県内では唯一の大規模空襲であった。
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実物の不発弾
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 土崎空襲については詳しいことは知らなかったが、ここで戦争遺産の現物を見学して改めて戦争の時代について考えさせられた。この歴史も忘れてはならない。

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この記事へのコメント

2019年11月09日 01:54
こんばんは。

でっかい船ですね。
11日で130万ですか。。。
豪華な船旅なんでしょうね。
乗ってみたい。。。
土崎空襲ですか。
知りませんでした。
2019年11月09日 09:00
クルーズ船は憧れですが、気持ちがついて行きません。
周りの雰囲気についていけないように思ってしまいます。
背伸びするのもしんどいという気になりますが、実際は
楽しいでしょうね!
まあ、残念ながら当分縁が無いようです。
2019年11月09日 16:37

こんにちわ。

セレブリティミレニアム、美しい豪華客船ですね。当地横浜港にも時おり豪華客船が着岸しますが、雄姿を眺めるに留まっております(苦笑)

すてきなお写真で机上の旅を楽しませていただきました。ありがとうございます。
2019年11月09日 17:50
これも大きな客船ですね。日本一周の船旅、最近多いようです。昨年乗りましたが、我々庶民には一生に一度で十分です。
ロシアンブルー
2019年11月09日 22:58
こんばんわ。
豪華客船、乗ってみたいですが実現できそうもありません。
見るだけで我慢我慢です。
終戦の前日に空襲があったんですね~、知りませんでした。
2019年11月10日 07:27
22日にセレブリティミレニアム
横浜で見てまた溜息でした
土崎みなと歴史伝承館秋まつり
伝承館
戦争忘れてはいけませんね


2019年11月10日 21:54
クルーズ船セレブリティミレニアム、やはり停泊中の姿は絵になりますね。
上を見えればきりがないですが、ほどほどの料金でもクルーズ船の旅ができるようになってきたと思います。着実に日本でもクルーズ船の旅が増えていくと思います。
土崎みなと歴史伝承館やそこでの秋祭り、見応えがありそうですね。
クルーズ船の後に、北前船の話が出てきて秋田港の時代の移り変わりを感じますね。日本の経済史の重要な要素であったと思います。
降魔成道
2019年11月10日 22:58
トトパパさん、コメントありがとうございます
130万円は庶民の世界ではないですからね。それは無理でも身の丈に合ったクルージングしてみたいです。
土崎空襲については終戦の日前後に秋田では必ずテレビなどで取り上げられますので、まあ知ってはいましたが、実際の戦争遺産としての焼けたコンクリートや不発弾を初めて見ました。
降魔成道
2019年11月10日 23:15
ポジティブオーラさん、コメントありがとうございます。
確かに豪華客船はドレスコードやマナーなども堅苦しいイメージがありますから少し敷居が高い感じがしますよね。私も堅苦しいのは苦手です。もう少しカジュアルで楽しみたいですね。
降魔成道
2019年11月11日 22:13
小枝さん、コメントありがとうございます。
私も秋田に来るまでは横浜に住んでいましたので横浜港でよく豪華客船を眺めていました。クルーズ船は美しいですよね。
降魔成道
2019年11月11日 23:49
長さん、コメントありがとうございます。
日本一周のクルーズ船は多いですよね。MSCスプレンディダが今年は5回も秋田港に来ました。1回は台風で欠航になったのですが、それを合わせれば6回の予定でした。日本をぐるぐる回っている感じですね。確かに一度で十分ですね。
降魔成道
2019年11月12日 00:02
ロシアンブルーさん、コメントありがとうございます。
私も豪華客船は夢のまま終わる予感がします。
戦争は悲劇しか残りませんよね。
2019年11月12日 12:54
こんにちは。
秋田港に入港したセレブリティミレニアムは、お化けみたいにでっかい客船ですねぇ。
お値段には幅がありますが、130万円は私にも無縁の世界です。(笑)
船の大きさは数字が物語るように、ちょっと想像できません。
現物を生で見ると実感できるんでしょうが。
土崎みなと歴史伝承館秋まつりで踊りが披露されている写真がありましたが、4人の女性がみんなきれいな方ばかりで、「秋田美人」という言葉が迫ってきましたね。
北前船の説明の中に、「松右衛門帆」が北前船の性能を飛躍的に向上させたというくだりが書かれていました。
この「松右衛門帆」を開発したのが、「工楽松右衛門」という今私の住む兵庫県高砂市生まれの人なんです。
同市内で、「工楽松右衛門旧宅」が公開されているそうなので、機会を見て見学に行ってみたいと思います。
土崎空襲は終戦前夜だったのですね。
終戦がもう一日早ければ空襲に遭わず、たくさんの犠牲者を出さなくて済んだのにと思います。
2019年11月12日 18:43
こんばんは。
豪華客船、憧れはありますが私には無縁です(笑)
でも、人気のようで、多くの旅行会社が色々なプランを販売してるようですね。
貨物輸送も海路から陸路への移行、これも時代の流れでしょうか。
土崎空襲、秋田県内唯一の大規模空襲だったのですね。
戦争は人が起こしたもの。次世代の子供たちには絶対味合わせたくないですね!
降魔成道
2019年11月12日 22:06
ジュンさん、コメントありがとうございます。
豪華客船は魅力的ですよね。私もしばらくは観るだけです。
戦争で何があったかを伝えていくことは大切ですね。
降魔成道
2019年11月12日 23:27
ミクミティさん、コメントありがとうございます。
豪華客船は絵になりますよね。横浜に住んでいた頃もよく港に船を見に行きましたが、秋田でも同じことを繰り返しています。
北前船については司馬遼太郎「菜の花の沖」を読んでから関心を持つようになり、各地の北前船にまつわる史跡などを訪ね歩くようになりました。なかなか興味深い世界です。
はるる
2019年11月14日 18:08
飛行機もいいけれど、船は特別なものがありますね。
豪華です。
これは見ているだけでも価値がありそうです。
空襲、こちらはこわいですね。
2019年11月15日 05:27
おはようございます。
セレブリティミレニアム豪華ですね。
素晴らしい、洗練された空間の中で過ごして
みたいです。
伝承館、本当に充実していますね。
色々な歴史があるのですね。
降魔成道
2019年11月15日 22:00
トンキチさん、コメントありがとうございます。
130万円はともかく、クルーズ船で優雅な船旅してみたいものです。
私が北前船に興味を持ったきっかけは司馬遼太郎「菜の花の沖」を読んでからです。高田屋嘉兵衛を主人公とした歴史小説ですが、松右衛門帆も登場してしっかり説明されてました。工楽松右衛門も小説の中に登場してましたけどね。松右衛門帆が登場するまではかなり強度の弱い帆が使われていたようで、画期的な帆だったようですね。本人に欲がなく、作り方を公開したことも一気に普及した要因だったとのことでした。なるほど高砂市ですか。工楽松右衛門旧宅には私も訪れてみたいです。
土崎空襲については、秋田でももう一日早く降伏していれば、という声を聞くことがあります。でもそれを言ったら、原爆投下前に降伏していたら、それ以前にそもそも開戦しなければ、という話になってしまいますね。現実に起こったことは変えられないし、教訓を次の世代に伝えていくしかないかと思います。
降魔成道
2019年11月16日 16:53
ハーモニーさん、コメントありがとうございます。
日本一周のクルーズ船が多いですよね。秋田港にも毎年十数回のクルーズ船が寄港しています。毎年少しずつ増えているようです。
戦争とはどのようなものか、しっかりと伝えていかなければいけませんね。
降魔成道
2019年11月16日 17:15
はるるさん、コメントありがとうございます。
豪華客船でゆったりと船旅してみたいものです。
戦争がどのようなものであるか、しっかりと後世に伝えていかないといけませんね。
降魔成道
2019年11月16日 17:29
ゴンマックさん、コメントありがとうございます。
私もこんな豪華客船でクルージングしてみたいものです。
伝承館は期待以上に充実していました。この様な施設はもっと各地で作ってもらいたいものです。
2019年11月28日 20:51
セレブリティミレニアムは写真だけで、実際に見た事が無いです。
9万トンクラスですから大きいですね。
神戸港には2013年に寄港していますが、
その時、私はクルーズ船に興味を示さない時期でした^^:
これはセレブリティ・クルーズが所有し、次々このクラスが建造され、それらをミレニアムクラスと呼ぶそうです。
船内ショップでは富士フイルムと提携しているコーナーがあり、高性能のデジタルカメラが船上で買えるとあります。
定員2092人に対して、船員は千人ですから、おもてなしも十分な態勢です。
日本も早くこのクラスの、おもてなし船を所有すべきですが、ちょっと情けないですね。

北前船の解説、じっくり拝読しました。
流石に詳しいですね。
この模型船も立派です!
絵図も立派なものが残され、素晴らしいです。

当時の土崎港が秋田港に繋がっている事も興味深いです。
神戸は兵庫港と神戸港が繋がっていて、それを連想しました。

降魔成道
2019年11月30日 16:47
アルクノさん、コメントありがとうございます。
セレブリティミレニアムも大きな船ですよね。定員2092人対して船員千人ですか。これまた凄いですね。サービスも十分で料金も高くなるわけですね。日本最大のクルーズ船は飛鳥IIで5万トン級ですから、世界と日本の差を感じます。バブル経済崩壊後の停滞する日本経済とダイナミックな世界経済との差がここにも表れているように思えます。
北前船の時代はとても興味深いです。私はこの分野の専門家ではありませんが、これからも研究を続けていきたいです。